自動車保険加入者の多くが、人身傷害補償保険をつけていることと思います。この保険は、自動車事故によって死亡したり後遺障害を被った場合などに、過失割合にかかわらず補償され、治療費、休業損害、精神的損害、逸失利益など、実際にかかった損害を補償してくれます。保険証券を拝見させていただくと3000万円という方が多いのですが、納得して加入しましたか?
保険金額を設定する時は、「逸失利益」がどのくらいなのかも意識しておくと良いと思います。逸失利益とは、「被害者が事故に遭わなければ得られたであろうと考えられる利益」のひとつ。給料や収入が思い浮かぶでしょうね。この逸失利益がどのくらいなのかは、死亡なのか、後遺障害を負ったのか、どのくらい働けるはずだったのかなどにより異なります。金額を求める際には、ライプニッツ係数というものを乗じて計算するようです。
例えば、死亡した場合の逸失利益を計算する時には、①被害者の基礎収入に②(1−生活費控除率)と③勤労可能年数に対する係数値 を乗じて計算するのが一般的なようです。生活費控除率は、亡くなった方が一家の大黒柱で、2人以上扶養していたのなら30%というように、世帯主なのか、主婦なのか、何人扶養しているのかなどにより異なります。
では、基礎収入600万円の世帯主が、妻と子ども1人を遺して死亡した時の逸失利益はというと、生活費控除率は30%、係数値は13.163になるので、
600万円×(1−0.3)×13.163=5528万4600円になります。もし、人身傷害補償保険の金額を3000万円にしているなら、2000万円以上も少ないということになりますね。5000万円に増額すると、保険料がかなりアップするのでは?と思う方も多いと思いますが、数百円程度なのでそれほど大きな負担ということもないでしょう。生命保険の加入状況も考えながら、保険金額を決めると良いですね。
なお、ライプニッツ係数で計算する方法をお伝えしましたが、必ずしもそれで求めた金額で評価されるわけではありません。あくまでも参考程度にしておいてください。
2012年4月25日